思いやりと生きる力

わたしを ぎゅっとして わたしを 見つめて わたしを 聞いて わたしを 呼んで

5歳児 が学んだ 人生訓

過日 柏中央保育園のさくら組さん (担任:井上先生)の詩の朗読会を見学させてもらいました。
井上先生の”行為(おこない)の意味”は次のような言葉から始まりました。

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あなた の こころ は どんなかたちですか?

と ひと に きかれても こたえようがない。
あたたかいこころ が  あたたかいこうい に なり、
やさしいおもい が   やさしいこうい に なるとき
こころ も おもい も はじめて  うつくしく いきる。
それは ひと が ひと として いきる と いうことだ。                                                                  詩人:宮澤章二さんの『行為の意味』から引用


ぼくたち わたしたち は ほいくえんでのせいかつ で たくさんの きもち をしりました。
そのきもち に ついて みんなで かんがえました。

 

                            
◍友だちと遊んでいる時間は、 たのしいきもち と嬉しい気持ちで
笑顔がいっぱいになりました。(Aくん)

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◍大好きな友だちとケンカした時は、心が苦しくなり
かなしいきもち になることを知りました。(Bくん)

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◍泣いている時は友だちがティッシュで涙をふいてくれたり
そばにいてくれて、 やさしいきもち をたくさん感じました。(Cちゃん)

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◍自分たちで炊いたご飯や、調理師さんが作ってくれる食事はおいしくて
毎日 しあわせなきもち になりました。(Dくん)

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◍リーダーや代表としてみんなの前に立つときは ドキドキしたきもち でした。
けれど先生や友だちにほめられると嬉しくなり自信がつきました。(Eちゃん)

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◍逆上がりがなかなか出来なくて、何度も挑戦して出来るようになった時は
目標に向って がんばるきもち がもてました。(Fちゃん)

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◍10kmウォークやお泊り保育の前はみんなが壮行会をしてくれて、がんばってね!
と応援してくれたから やるぞ!というきもち になりました。(Gくん)

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筑波山登山では、一人だとつらいことも 仲間と励ましあってがんばりました。
山頂からの景色をみんなで見られたときは
うれしいきもち でいっぱいになりました。(Hくん)

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◍組体操の”一本橋”は、いっぱい練習をしていっぱい失敗もしたけれど
一人ひとりが あきらめないきもち を持ち続けがんばったことで
成功することができました。(Iちゃん)

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◍マラソンを走っていると苦しくなります。けれどゴールまであきらめないで走りきったあとはやりきったきもち になりました。努力することの大切さを学びました。(Jくん)

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◍いつもそばで応援してくれるひと、応援しにきてくれるひとがいることがうれしくて
かんしゃのきもち をたくさん感じました。(Kちゃん)

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◍まわりの人からのやさしさから
自分も やさしくしてあげたいきもち を持てるようになりました。(Lくん)

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そして 井上先生とさくら組さんの子どもたちは 次のような言葉でまとめていました。


ほいくえんで たくさんの けいけん たいけん をして しることのできた きもち を とおして、じぶんの こころのなか には いろいろなきもち が あること を しりました。

これからも まわりにいるひと の きもち や じぶんの きもち をたいせつにして
なかまとすごせる のこりのほいくえんせいかつ を たいせつに すごしていきます。

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”今月の童心会だより”は柏中央保育園の年長児 さくら組さんたちの 「5歳児が学んだ人生訓」 を是非、皆さまにお知らせしたいと強く思い 書きました。


私は今日この歳まで知ることが出来なかった ”人生訓” を改めて この子どもたちから
学ばせていただきました。
子どもたちが この一年間の(社福)童心会の生活や行事を通して学んできたことに
対して、私たち大人や親や保育者仲間たちは
胸をはって 「5歳児が学んだ人生訓」 に負けない ”生きる” を学んできたと言えますか?
                          平成 30年 12月 吉日
                          社会福祉法人 童心会
                            理事長 中山 勲

H30_11【(社福)童心会 保育の特色~外環境・四季環境の活用~】

私が茨城県で筑子保育園を運営していた時代から師と仰ぐ藤田先生という人がいます。
出会いは先生が、茨城県の校長会の副会長、下館小学校の校長を退職してから
教育委員会の指導主事になられて、保育園の指導に来られてからでした。

最初に交わした言葉が、「園庭が少し狭いようですね」と言われ、私は次のように答えました。
保育園から50m歩くと田んぼも畑も、ザリガニのたくさん取れる用水路もあぜ道もあります。

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100m歩くと勤行川という秋にはさけが遡上する川もあり、その畔には図書館、市役所があります。
夏には川下りをしたり、毎月マイライブラリーとして遊びに行ったりしています。
500m位離れた所にはJR下館駅や大きな商店街が連なっており、
これ全部が保育園の庭です。と言った時から先生との出会いが始まりました。

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もう23年以上前になるのでしょうか?
そして先生が再度来園した時に、2~3歳の子どもたちが補助なし自転車にチャレンジし、転んでも泣かないで練習している姿や、卒園式に3歳児が1時間位静かに参席している姿などを見ているうちに、

私たちの「0歳からの人間教育、五感を刺激する保育」に共感して下さるようになり今日に至っております。

 

今年(H30年4月) 力公(ちから)先生が (社福)童心会に入職してから今まで以上にバス2台を利用した外環境・四季環境を活用した教育・保育を展開しています。

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そうした活動の中で、私たちの保育の世界を科学すると
2001年のOECDのECEC(Early Childfood Education and Care) の発表では、
3歳未満の子どもたちは 有能な学習者であると言っています。


また脳神経科学の世界では 次のように言われています。
生れた時の赤ちゃんの大脳皮質には、神経細胞ニューロンの数が大人と同じくらいあるのですが、情報は脳の刺激を受けてはじめて神経細胞につながり、それらが神経回路となりシナプス神経伝達物質が出来、ネットワークが生まれます。
そして そのシナプスは 3~4才頃までがピークになるので、「0歳からの人間教育 五感を刺激する教育・保育」を大切にしなければならないと言っているのです。
そして(社福)童心会の特色ある保育は、外環境・四季環境を活用することが重要であるという考え方であり、少なくとも0~3、4歳まではすべての脳の分野を鍛えるために、刺激を与えることが必要だと確信し、実践しています。


だから、ちから先生の役割と先生方が行っているお散歩などの屋外活動・異年齢児交流保育なども教育・保育の場として重視しなければいけないのです。


前にご紹介したことがあると思いますが、「乳幼児期から育む自尊感情」生きる力、乗りこえる力 というご本(近藤卓著)の中で次のようなことが書いてあります。
「人間に、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚など五感に代表される感覚器官はあるが、
喜怒哀楽以外にも様々な感情を持つのに専用の感情の器官を持っていない」

というのです。それは「心はどこにありますか」「心はどうして育つのですか」

という問いかけでもありました。

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著者は基本的自尊感情共有体験によって育まれると言い、感情は、他者がいるからこそ生まれる
つまり感情を司る心は、その人の中にあるのではなく 人と人との間にあるともいえるのだというのです。
つまり共有体験とは、信頼できる他者と五感を通じた体験を共にし、その時その場で共に感じあうこと。即ち「体験の共有」と「感情の共有」のことを言うのだそうです。
これが正に(社福)童心会の保育なのです。


改めて私たち(社福)童心会の保育を見つめた時、保育園の中だけの生活を中心とするのでなく、社会環境、養育環境、人環境、外環境、四季環境を活用しながら、次世代から未来につながる人間を創る役割をもたされている気がしてなりません。


私は今、教育・保育の世界を前にして 生活・運動・心・体・脳の発達をくり返しながら
これからの人生100年時代に生きる人間に必要なものは何かを考えた時”思いやり と 生きる力”を真っ先に思い浮かべました。

利他の心他者理解」即ち”他者の心情を察する能力”とでも言いましょうか!
正にそれは外環境・四季環境などを活用した 「体験の共有」「感情の共有」から生まれてくるものでありますから、(社福)童心会の保育を大切にしたいと改めて強く思いました。
                      平成 30年 11月 吉日
                      社会福祉法人 童心会
                        理事長 中山 勲

H30_10【運動会  生活・運動・心・体・脳】

(社福)童心会の運動会は何を目指しているのでしょうか?

といつも自らに問いかけている自分がいました。

柏市で10年目を目前にしている柏さかさい保育園からの歴史と歩みを振り返って見て

ようやく答えが見つけられました。

最近読んだ「脳を鍛えるには運動しかない」

(ジョン・J・レイティwithエリック・ヘイガーマン著)

というご本の中で、最新科学で分かった脳細胞の増やし方が書いてありました。

◍ 運動させた子どもは、成績が上がる。

◍ 運動をすると、35%も脳の成長因子が増える。

◍ 運動をすることで、ストレスやうつが抑えられる。

◍ 運動で、五歳児のIQと言語能力には大きな差が出る。

 

しかし私たちの考えはこれだけではありませんでした。

人間の生き方を総体的に見つめてみた時、生活・運動・心・体・脳からの

視点を外すことはできないと思い、次のように考えてみました。

私たち人間の生命を授けられた時からのスターティング・カリキュラムは、

見る、観せる、聞く、聴かせる、触れる、触るなどの五感を通して

生活(生活技術の獲得)・運動(運動機能の獲得)などがハビリテーションの目標だったはずです。

それが人間として生きる学びのはじめであり、神様の導きだったと思うのです。

そして次の目標は、非認知能力を身につけながら

人間としての「心・体・脳」の機能を高めることでした。

 

「心」はどこにあるの? 「心」はどのように育つの?という設問には

基本的自尊感情というものがあって

それは身近で信頼できる人と体験を共有し、同時に感情を共有することから

助けあうこと、そして自分はこれでいいのだ、と分かるようになって心が育つのだそうです。

「体」はどうしたら、心身共に健康になるのでしょうか?

私たち(社福)童心会では

スターティング・スマート「愛された育ち、抱きしめ言葉」を通して

脳内ホルモン オキシトシン(愛情ホルモン)を分泌させ

また朝の自由時間や毎日の屋外活動で朝陽をあびて運動することで

最近増加中といわれるビタミンD欠乏症と診断される子どもたちの予防にもつながっています。

また脳内物質セロトニンメラトニンシャワーをあびて

寝る子、遊ぶ子、食べる子元気!」な子どもたちが生活をすることで、

脳のシナプス(神経回路)のネットワークが活性化される

というエビデンス(科学的根拠)を信じて体を育てています。

また生きる姿勢としては、今年の童心会だより9月号にも書いていたのですが

次のような言葉があります。

20年にわたる調査で科学的に実証された人生を変える最強メンタルの作り方‼

著者はアメリスタンフォード大学心理学教授 キャロル・S・ドゥエック 

MIND SET(マインドセット

やればできる!」の研究

この本には次のようなことが書いてありました。

大切なことは、しなやかな心の持ち方「しなやかマインドセットgrowth mindset」である。

「その根底にあるのは、人間の基本的資質は、努力次第で伸ばすことができるという信念だ。」

と声高く言っているのです。

このようにたくさんの人たちの言葉とエビデンスに裏打ちされ

私たちの運動会、その他の行事・毎日の生活の中で私たちの目指す一生モンの

「人間として生きるための指標」はIQなどで示される認知能力だけではなく

非認知能力(社会情動的スキル)が重要であることを確信したことから、次のようになりました。

やればできる(非認知能力)

◍ がんばること(体の力)     ◍ やる気(意欲) 

◍ つづけること(学ぶ力)     ◍ げん気(健康)

◍ がまんすること(心の力)            ◍ ほん気(意志)

                                                                                                         以上

追伸:

生みの親・育ての親・地域の親などみなさんの見守りと協力で私たち子育て仲間を幸せにし、次世代を担う子どもたちを心豊かに育てて行こうではありませんか!

 

                            平成 30年 10月 吉日

                            社会福祉法人 童心会

                            理事長  中山 勲