H26_06 生活を通して 生きるを学ぶ
私はある年の年賀状に、
「保育所は今、生きている喜び と 共に学びあう心を育むところ」
と書いて皆さまにお届けしたことがあります。
私は常日頃から保育とは、「生活すること」であると言ってきました。毎日毎日の生活をくり返しながら、その生活の中での役割を身につけ、その社会の中での一員として役割が認められ、生き方を身につけていくものであると考えています。
だから、そのような生活の中で、「自分 を生きる」を学ぶのです。
自分で 生きる
みんなと 生きる
他人(ひと)のために 生きる
をくり返し、くり返し実践しながら数多くの生きている意味を味わい 体験し 生きるを学んでいるのです。
昔から 子どもは家庭を構成する家族の一員としてお風呂の水くみや薪まり、配膳や洗濯物の取り入れなど家事の切り盛り(きりもり)をしながら、家族の生活を成り立たせていたのです。
またまた、道元禅師のお話になりますが、「座禅だけでなく、日常生活も大事である」と曹洞宗では説いています。料理や掃除の作法からトイレの使い方まで、生きていく上での実践を大切にしているのです。
「遺教経の 八大人覚の中の 修智慧(実践しながら生きる)」
このような日本の文化、歴史、宗教の中で“生きる”を学ぶべきはずだった現在の子どもたちが、親から何も教えられずに育ってきたのです。
その親はどのような時代に育ったのかと言えば、1960年代に中学校が荒れた時代、1970年代に野球バットで親をなぐり殺した事件があった時代でした。
今はもう歴史の中に閉じこめられていますが、1980年(昭和55年)代、1985年(昭和60年)代の高度経済成長期からバブル期の絶頂期の中で育った親子でした。
しかし、私たちは忘れてはなりません。
いつの時代でも いつの世の中にあっても どのような逆境にあっても私たちは叡知を働かせながら世直しをしてきました。
だから今私たちに求められていることは、0歳児から保育を共にしている保育所が
新しい価値感を持つ人間を育てて行かなければならないと言うことなのです。
それが私たちの言う「保育所から始める地域コミュニティ創り」なのであります。
保育所が、今新しい社会的価値感を持つ新しい仲間を育てながら世直しを図ることが子どもたちの幸せにつながることであると私は、信じて疑いません。
まず(社福)童心会に所属する保育園から新しい価値感を持った人たちがTogether(一緒に助けあって生きる)人間に育ってほしいと願っています。
改めて「生活を通して 生きるを学ぶ」を子どもたちだけでなく私たちが学んで身につけて生きたいですね!
平成26年6月吉日
社会福祉法人 童心会
理事長 中山 勲