思いやりと生きる力

わたしを ぎゅっとして わたしを 見つめて わたしを 聞いて わたしを 呼んで

H27_10『スマートエイジング(賢い脳の使い方)』

最近の流行ことばにアンチエイジングという言葉があります。
しかしこの言葉は加齢を後ろ向きに捉えています。
しかしそれに替わるスマートエイジングという言葉は加齢を否定するのではなく、加齢による変化に賢く適応しながら生きていきましょう、という意味なのだそうです。
そしてそれを続けることによって豊かな老後にしていきたいという活動を進めている方が東北大学加齢医学研究所教授、瀧 靖之先生です。


先生は、現在5歳児から80歳を超えるご高齢の方まで、データを集めて解析を行い、数年以内には15万人を超えるデータを集積しようとしている世界最先端の技術者です。
先生はこの膨大なデータを解析し、「こういう遺伝子、こういう体質の人が、こういう生活習慣をすると、こういう病気にならない」という研究をしています。


これを読んで私たちは、(社福)童心会の保育に照らし合わせ、脳科学と保育をコラボする研究をしてみようと思い取り組みました。
そして保育活動を振り返りながら賢い脳の使い方を探してみました。

 

保育実践活動1.【運動】
「脳のために良いこと」のまず一番に挙げられることの一つに「運動」があります。
つまり有酸素運動、ウォーキングやジョギング、水泳、体育指導、鬼ごっこ、お散歩、虫取り、自由遊びなど子どもたちの「運動」は、子どもたちの遊びの世界に欠かせません。
そしてそれらはハビリテーション(機能訓練)であり、小運動、大運動機能訓練であり、P.T(フィジカルセラピー)にもつながっているのです。
そしてまたこの運動は、リズム運動を含めてセロトニン神経を活性化させ、脳の覚醒レベルを維持したり、集中力を高めたりする作用があります。
また朝日を浴びながらのリズム運動も二重にセロトニンを活性化させ、良質な睡眠を得ることができるそうです。
しかし一番大切なことは、保育の日課(デイリープログラム)の中に自由遊び、ハビリテーションの時間を持っているかどうかが、今、問われています。
私たちは今、子どもたちの脳を活性化させるためにも、朝日を浴びながら、大人や子どもたちも含めたたくさんの「群れ」の中で生活させなければなりません。

 

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保育実践活動2.【こころ】
次に楽しい!嬉しい!おいしい!素敵!と感じた時が、脳を元気にするというのです。
ワクワク、ドキドキは五感、六感を刺激した時に生まれる「こころ」の動きです。
子どもたちは、毎日毎日の保育園での生活の中で愛された育ち(だきしめ言葉)をたくさん受け取り、幸せを感じて生きています。
だから童心会の子どもたちは他人にやさしくできるのです。
アメリカのある研究では「喜び」「幸せ」「感謝」などの表現をたくさん使っている人ほど、幸せな人生を送ることができるという結果が発表されています。
私たちは遊び、くらし、学びの中でワクワク、ドキドキ心ときめく活動を続けています。

お泊り保育や歩く会、行事の一つひとつに感動があります。
毎日の活動の中でそれを目指しています。
特に(社福)童心会の保育者仲間たちが大切にしている保育技法「愛された育ち(だきしめ言葉)」は、1日7回以上の「ハグ」をデイリープログラムの中で義務づけられており、信頼のホルモン オキシトシンの豊富な子どもが育つと確信しています。
そして子どもたちは
・他者への共感
・自分の情動を自制できる力
・好奇心が旺盛
な人間に育っていくのです。

 

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保育実践活動3.【からだ】
脳を活性化させるために、「運動」と並んで重要な要素は「好奇心」です。
特に(社福)童心会では見せる(興味)、見る・聞く(関心)、さわる(好奇心)、やってみる(意欲)、つづける(意志)を大切に育てています。
なぜなら私たちはこれが、人間としての基本的な生き方の姿勢であると信じているからです。
改めて私たちは、あそび、くらし、学びを通した総合的な生活学習の中で、教えと業(ぎょう)を仲間たちとの群れの中で、「からだ」で感じて学んでいるのだろうと考えています。
そしてさらに私たちは次のことを教えられました。
「好奇心」を持って取り組んだ時の神経伝達物質ドーパミン」は、記憶効果「短期的・長期的な記憶」につながることもわかりました。
まさに脳の最高の栄養素だと言うのです。(瀧 靖之2015 生涯健康脳)

 

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私たちは、子どもたちと過ごしている毎日毎日の日常の生活時間を振り返りながら、社会福祉法人 童心会の保育を見つめ直してみました。
改めて昭和48年(1973年)から取り組んだ五感を刺激する保育、0才児からの教育(学びのはじめ)という私たちの実践している保育が、今時代の最先端にある脳科学エビデンス(科学的根拠)に裏付けされたものであることに誇りを持ちました。
改めてこの想いを皆さまにお知らせしながらこの子どもたち一人ひとりを自信を持って次の世界に送り出せる喜びを感じています。
ありがとうございました。
皆様に幸あれ!!

 

 

平成27 年10 月吉日
社会福祉法人童心会
理事長中山勲