思いやりと生きる力

わたしを ぎゅっとして わたしを 見つめて わたしを 聞いて わたしを 呼んで

H28_01【新春 (生きる力)】

新年明けまして おめでとうございます。

 

私はこの年末、年始のお休みをいただいている間、何かにとりつかれたように、 ある言葉の意味をずっと考えていました。

 

その言葉とは、「育つ力 と 育てる力」 です。

"育つ力" は赤ちゃんが産声を上げ、肺で呼吸ができるようになった証から始まります。

そして、ミルクやおっぱいを飲んでいるとき、母親(養育者)の目を「見る・愛でる」等の応答関係や、「泣く」という行為は、人との豊かな関係(コミュニケーション)を作りながら、はじめて「育つ」ことができる「生きる力」を身につけていきます。

 

また、生後1~2ヶ月の頃の赤ちゃんは、やわらかい笑顔 「天使の微笑」で、それを見ている人たち、みんなを幸せな気分にします。

首がすわる生後4か月頃からは、いろいろな声を出してコミュニケーションを図り、喃語を話しはじめて言葉の獲得に向かい始めます。

そしてまた、五感を刺激しながら身体の諸機能を発達させ、愛着形成を育みながらさらなる「生きる力」を身につけ、自立することを学習していきます。

 

正に「育つ力」とは、人との豊かな関係から生まれる身体的諸機能の獲得であり、人間の「生きる力」の基盤になっていることを忘れてはならないのです。

  

また、「育てる力」を正しく捉えず生みの親、育ての親、地域の親、養育者、先生たちの子育ての大誤解から始まっています。

 なぜかと言いますと、人間の赤ちゃんは他の動物にくらべて未熟な状態で生まれるため、大人がすべての面を養護しなければ何もできない存在だと思われていたからです。

それが「子育ての大誤解」の始まりになったのでしょう。

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だから私は次のように考えました。

「育てる力」とは、「生きる喜びを自ら獲得していく力」 だと解釈しました。

人間は神様から五感を授けられて誕生した時から、ただ単なる「育つ力」ではなく、「生きる力」 を授けられてきたと思っています。

 

しかし、今の時代を振りかえって見ますと、「多様な家族の形態と、二代、三代にわたる 世代間連鎖」  が、多くの子どもたちの問題行動を作り出してきました。

 親が、大人が思い通りに育てたい 「良い子作り」が大きな過ちなのです。

私は、親が願う「勉強ができて、良い学校、良い会社に入り、幸福な人生を歩むはず」が、いじめ、不登校、ひきこもり、リストカットうつ病など、精神内科のお世話になっている人たちをたくさん見てきました。

 

今改めて考えてみますと、子どもの真実の姿は、生来的に授けられていた五感を活用しながら知識を獲得し、それに意識を加えて「智慧を認識する学ぶ力」が大切なのでしょう。

改めて「育てる力」とは、「生きる喜びを自ら獲得していく力」 になっているのです。

そしてその力は自分自身の心の中で育てられ、一生持ち続けられる力であったはずです。

 しかし、その貴重な宝物を、親や大人の権威・権力で「思うがままの子育て」 へと、道を間違えてしまったと思えてならないのです。

 

私たちは、毎日毎日の子どもたちとの生活を通して、イキイキ、ワクワク、ハラハラ、ドキドキの体験から生まれる「0才児からの教育の本質」 を大切にしていきたいと考えて保育をしてきました。 

そして、興味・関心・好奇心・意欲・意志を大切にする人間教育に取り組んでいきたいと確信しました。

また改めてこの言葉から生まれる生活体験、「生きている喜び」を財産として、子どもたちに 「一生モンのプレゼント」 をしたいと考え、時を過ごしていた新年の始まりでした。

 

今年もどうぞ よろしくお願いいたします。

 

 

平成 28 年 1月吉日

社会福祉法人 童心会

理事長  中山 勲