H28_06『興味・関心・好奇心・意欲・意志』 (人間としての生きる姿勢)
最近の幼児教育界では、幼児期に育むべき姿勢として、OECD(経済協力開発機構)などが提唱する 「社会情動的スキル」 という運動を始めています。
社会情動的スキルとは、まだ日本では耳なれない言葉ですが、「非認知能力(スキル)」と呼ばれています。
なぜ欧米を中心に世界中で注目されているのか、をお伝えし、考えてみようと思いました。
非認知能力(スキル)とは、IQ(知能指数)などで数値化される認知能力と違って目に見えにくいのですが「学びに向かう力や姿勢」とも言われ、目標や意欲、興味・関心を持ち、粘り強く、仲間と協調して取り組む力や姿勢が中心となると、白梅学園大学教授の無藤 隆先生がお話していました。
特に今、内閣府にある 教育再生実行会議では、今後の幼児教育の中心的なテーマが非認知能力の育成だと言われているというのです。
こうした時代の流れの中にあって、改めて私たち社会福祉法人 童心会の保育を見つめ直してみました。
〔人間教育の目ざすもの〕
子どもたち一人ひとりが "生まれてから死を迎えられるまでの一生" を人間教育の場として捉え、「人間として如何に生きるべきか」を学ぶための原体験を創る人間教育(保育)を目指すものである。
1 人間としての 生きる基盤
(愛着システムの形成)
愛された育ちの保障(だきしめ言葉)
2 人間としての 生きる姿勢
興 味 ・おや、なんだろう!
関 心 ・やってみたいなァー?
好奇心 ・できるかなァー?
意 欲 ・よし、やるぞう!
意 志 ・最後までつづけるぞ!
3 人間としての 生きるための教え
・がんばること (体の力)
・つづけること (学ぶ力)
・がまんすること (心の力)
4 人間としての 生きる心得
・笑顔(和顔施) 人には常にやさしいほほえみで接する
・挨拶(愛語施) 人には真心のこもった思いやりの言葉で語りかける
・思いやり(慈眼施) 人をいつくしみ深い眼差しでみつめる
・感謝(心慮施) 人の悲しみと喜びを自分のものとする
そして法人の基本的理念は次の通りです。
やさしい保育園
・子どもにやさしい
・保護者や子育て仲間にやさしい
・保育者仲間にやさしい
・地域社会にやさしい
私たちの保育は、昭和48年茨城県下館市(現筑西市)人口6万人の小さな町から生まれました。
まだ若い無明(悟りによる智慧のないこと) な私が何かに導かれるように、保育目標「思いやり(慈悲)と生きる力(智慧)」を掲げてこの世界に飛び込んだのです。
その時代はまだ乳児保育、幼児教育とは、赤ちゃんのお世話をすることとか、幼稚園に「追い着き、追い越せ」の時代でした。
しかし今、40年余の時間が経過し、ニート・フリーター・引きこもり人口が277万人もいるという現実に対して、責任をもって答えている教育学者や現場の先生方はあまりいません。
だからあえて言いたいのです。
皆さん、改めて人間教育は私たちだけで行うものでなく、家庭教育と手を取りあってこそ生まれ育つものです。
すなわち、生みの親、育ての親が助け合って育てあうものなのです。
そして社会福祉法人 童心会の保育「0才児からの教育」は「人間としての生きる姿勢」「興味・関心・好奇心・意欲・意志」から生まれ始めるもの、と信じて実践してきました。
皆さんはもうご存知かもしれませんが 文部科学省は今、アクティブラーニング(生徒たちが主体的に課題を解決する力)を提唱しています。
私たちはこうした時代にあって、人間としての姿勢の中に聞くこと (知らないことは見て・聴いて・盗む)を加えて、スマートラーニング(時代を見つめ、必要なことを仲間と共に学び、育ちあうこと)を広めて行きたいと考えています。
皆さんの家庭教育のご協力を私たちは強く願っています。
よろしくお願いいたします。
平成 28 年 6月 吉日
社会福祉法人 童心会
理事長 中山 勲