H28_07『甘やかされて育った子どもは出来が悪い?!』
今流行りのアドラー心理学を思い出して、また読み返してみました。
「アドラー人生を生きぬく心理学」(岸見一郎、NHK出版)です。
アドラーはこの本の中で、「赤ん坊は生きていくために親を使って食べ物を口に運ばせなければならない。また言葉を話せないので、泣く事で周りの大人を自分のために仕えさせなければならない。さもなければ生きていくことができないからである。」
即ち生理的欲求と安心・安全の欲求は、親やそれに変わる養育者が未成熟なままで生まれるホモサピエンスを育てるための20万年前からの習わしであったのです。
しかしこんなふうに親や周りの大人を支配する必要がなくなる日がやってくる。
それなのに、精神的にずっと赤ん坊のままでいて、大人になることを拒みいつまでも子ども時代にしがみつこうとする人がある。
いつまでも大人が自分のためにやってくれる安楽な環境から出ていきたくないのである。
赤ん坊のような言葉で話してみたり、自分より幼い子どもとしか遊ぼうとしなかったりする。
大人になってもこのような子どもたちは、長じて他者が自分に何をしてくれるかということばかりに関心を持つ。
自分の期待を満たしてくれる人がいればいいが、他者は必ずしも、自分の期待を満たしてはくれないという当然の事実に気づいた時、反発し、公然と反抗し、攻撃的になる。
しかし残念ながら、自分から何もしようとしない人を世界は受け入れない。
続けてアドラーはいう。
「私たちの文明では、甘やかされた子どもは好ましく思われず、一人の人間が何ら貢献することなく、常に注目の中心でいることは 適切なことではない、と考えられているからである」
( 『個人心理学講義』1996年 )
だから改めて考えると、アドラー心理学の特徴は、自分が決めることである、と言っています。
どうすれば幸福になれるのか、如何に生きていくのか、について明白なイメージを持っていることであります。
それは正に、私たち(社福)童心会が言い続けてきた保育理念なのです。
自分をつくる
ひとりでできる
みんなとできる
人のためにできる
助けあってできる
自分をつくる
「人類進化700万年の物語」 という本の中で「私たちだけがなぜ生き残れたか」 という問いかけがありました。180年間の発掘調査で 27種の人族の骨が発見されましたが、今日まで生きのびてこられたのは、ホモサピエンスだけで、他の系統の種はすべて全滅してしまったというのです。
生まれてすぐ立ち上がる動物などに比べて 親や養育者が養育や学びに膨大な時間と手間をかけて身近な自然、身近な事象、多様な環境に対応できる 「自分を創る」 智慧の獲得につながったのでしょう。
最後になぜこのタイトルが生まれたのか「甘やかされて育った子どもは 出来が悪い?!」 の答えを考えてみましょう。
甘やかされた子どもは 甘やかされた結果、三つの問題を解決することが出来なくなります。
1. 他者を支配すること
2. 他者に依存すること
3. 人生の課題を解決しようとしないこと
そして甘やかされた子どもたちは神経症的な生活から離れることが出来ず「5人に1人」 が精神疾患にかかってしまうという世界に入ってしまうのです。
だから子どもたちを甘やかしてはいけません。
責任をもって子育てから親育ち、共育ち、共育てを忘れないように心がけてください。
ご協力よろしくお願いいたします。
平成 28 年 7月 吉日
社会福祉法人 童心会
理事長 中山 勲