H28_08『アクティブラーニングか?スマートラーニングか?』 ~賢い子に育てるために~
人間はお母さんのお腹の中にいる胎生期、28週頃からものが見えて(視覚)、聴くことが出来て(聴覚)、体性感覚が育ち「学び心」 が芽生えていると言われています。
だから生後、その五感を活用しながら人間としての生き方を学習し、身につけていきます。
私たち(社福)童心会は 「0才児からの教育」 を謳ってから久しく「テラスの教室」から、たくさんの子どもたちが授けられた五感を活用しながら、興味・関心・好奇心・意欲・意志を持つ子供たちを育ててきました。
童心会 各保育園の1歳児「もも組」さんを受け持つ先生たちは、口を揃えて「もも組さんは 意欲があります」 と答えてくれます。
そしてまた、口を揃えて 「ばら組さんの先生方の〔育て〕のおかげです」 というのです。
今、脳医学で有名な 瀧 靖之教授(東北大学加齢医学研究所)は、『「賢い子」 に育てる究極のコツ』というご本の中で、
「これは何?」 「なぜ?」 「どうして?」
という言葉の応答と姿勢から、賢い子が育ってくる、と言っています。
3~4才になると、多くの子どもたちがすべての出来事に、興味・関心を持つようになります。
こうして子供の中に育った 「好奇心」 は、やがて意欲や競争心となって、生涯にわたってその子の財産になっていくはずです、
と書いてあります。
そして先生は続けて、
ご専門の加齢医学の研究から、どんな健康な人でも歳をとれば脳は老化し、様々な能力が低下していきます。しかし幼い頃から好奇心が高い人ほど、老化の速度が遅い。
と述べています。
だから
好奇心が旺盛で、考えたり、判断したり、計算したり、多くの人たちとの関わり(高次認知機能)などを多く持てる人は、歳をとってからも他の人たちよりも10年以上長く人生を楽しめる人、といえるでしょう。
と力強く言っています。
こうした時代の激しい科学の動きの中で、2020年~22年度に小中校で始まる、学習指導要領についてまとめ案が公表されました。
この中での最重要事項のアクティブ・ラーニング(AL)は、主体的で対話的な能動的学習を目ざしています。
ALは今までの「何を学ぶか」ではなく、「どのように学ぶか」、「何ができるようになるか」特に、「どのように」というキーワードを大切にすることだ、と説明しています。
またALには「三本の柱」があるのですが、私はその中で(社福)童心会の 「0才児からの教育」 に取り組む者として実践している 、「学びに向かう力・人間性」即ち、今はやりの「非認知能力の育成」を昭和48年から実践する者として、どのようにそだててきたのか、その実学をお伝えしたいと思いました。
即ち、これ(非認知能力の育成)が私たち(社福)童心会でいう スマート・ラーニング なのです。
0才から五感を授けられた意味を知った者が、それらを活用し、「観せる・見る・聴く・さわる」 ことから、「学びあえる力、学びに向かう力」という、「人間としての生きる姿勢・態度」 を身につけていくことを、スマート・ラーニング と私たちは言っています。
1. 人間としての 生きる基盤
愛された育ち(だきしめ言葉)
2. 人間としての 生きる姿勢
興 味 ・おや、なんだろう!
関 心 ・やってみたいなァー?
好奇心 ・できるかなァー?
意 欲 ・よし、やるぞう!
意 志 ・最後までつづけるぞ!
3. 人間としての 生きる態度
がんばること (体の力)
つづけること (学ぶ力)
がまんすること (心の力)
を、これからもこの言葉の持つ意味を大切にしながら、子どもたち一人ひとりにこの力を身につけさせることが、私たちの臨床保育の実践であることを改めて確信しました。
時を同じくして、無藤 隆(白梅学園)教授は、
遅ればせながらOECD(経済協力開発機構)から始まった、欧米を中心に世界中で注目されている「非認知能力」の育成は、日本でも教育再生実行会議でも中心的なテーマで、平成30年度より実施する予定の幼稚園教育要領や保育所保育指針には、内容が多く盛り込まれるはずだ、
と書いています。
非認知能力はI.Qなどで数値化される認知能力と違って、「学びに向かう姿勢」とも言い表し、目標や意欲・興味・関心を持ち、粘り強く、仲間と協調して取り組む姿勢が中心になる。
と言っています。
今回の童心会だより8月号は、むずかしいことを長々と書かせて頂きました 。
いつも思っていました。
機会があったら(社福)童心会の「保育の本質」を、皆様にお伝えしようと心待ちにしてはいたのですが、国の制度が変わろうとしている今昔から実践している、私たちの人間教育が認められてきているのです。
うれしい限りです。
過日行われた「柏さかさい南部 子ども夏まつり」では、OBの方がたくさん集まって下さり、(社福)童心会の保育園は、「エリート保育園だ!」とのお誉めの言葉を、たくさんいただきました。
すべて「生みの親・育ての親」になってくれた「皆様のおかげさま」です。
ありがとうございました。
これからも皆様のご協力 よろしくお願いいたします。
平成 28 年 8月 吉日
社会福祉法人 童心会
理事長 中山 勲