思いやりと生きる力

わたしを ぎゅっとして わたしを 見つめて わたしを 聞いて わたしを 呼んで

H29_01【年頭初感 『今から始めよう!未来への人間教育』】

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「今後の幼児教育とは」と題して、白梅学園大学子ども学部の無藤 隆教授が、「千葉市の幼児教育シンポジウム」で講演し、今回の幼稚園教育要領の見直しの背景やポイントについて説明したそうです。

特に私が気になったのは、小学校入学時点での児童の課題として、半数以上の小学校が次の四つの事に問題があり、幼保小連携接続テーマのモデルとなる、「アプローチカリキュラム」を作成する必要性を感じているというのです。

  1.自分の思いや考えを友達や教職員に伝える

  2.自分の持ち物をきちんと管理・整理する

  3.好き嫌いなく喜んで給食を食べる

  4.落ち着いて席に座り、教職員の話を最後まで聞く

私はこれを読んで、人間として生きるために必要な姿勢・態度を見失なった幼児教育が、250万人もの引きこもり、不登校ニート、フリーター、いじめを生み出している事実の裏付けを知らされた気がしました。

こうした状況の中でまた、教育要領、保育指針、教育・保育要領の改訂に向けた論議がまとまり、平成28年度末告示、30年施行に向け動き出しました。

その中では、特に5歳児の終わりまでに育ってほしい姿を、次の10項目を明確に位置付けることも明らかにされました。

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一方保育指針の改定の方向性として

   ①乳児・1歳以上3歳未満児の保育に関する記載の充実

   ② 保育所保育における幼児教育の積極的な位置づけ

   ③ 子どもの育ちをめぐる環境の変化を踏まえた健康及び安全の記載の見直し

   ④ 保護者・家庭及び地域と連携した子育て支援の必要性

   ⑤ 職員の姿勢・専門性の向上

などが掲げられていました。

(社福)童心会は、昭和48年から茨城県での「五感を刺激する保育」から始まり、「認知神経科学」や「脳科学」などの進化から、教育は乳児期から始まっていることを、私たちは臨床保育を通じて学んできました。

生理的要求、情動的要求だけでない、感受性・感性、感情までを共有しながら、「他者理解」まで育っている現実を見ています。

だから改めて、未来への人間教育を、今から始めなければならないと強く思うのです。

キャシー・デビットソン氏(ニューヨーク市立大学院センター教授)は、今回の改定に際して「子どもたちの65%は、大学卒業後、今は存在しない職業に就く」と明言しています。

今まで以上に未来が予測不能で、変化のスピードが速い時代になるというのです。

だから未来志向の新教育課程、"アクティブ・ラーニング"を「攻めの学習指導要領」と評していますが、私は"スマート・ラーニング(賢い人間教育)"を提唱します。

なぜなら新しい時代に生まれてくる「文化と科学」は、新しい人間教育を求めているからです。

「文化と科学」が融合された乳幼児教育が、今、求められているのです。

保育指針の改定も何度か行われていますが、同じ過ちを繰り返さないことを、ただ祈るばかりです。

 

平成 29 年 1月 吉日

社会福祉法人 童心会

理事長  中山 勲