思いやりと生きる力

わたしを ぎゅっとして わたしを 見つめて わたしを 聞いて わたしを 呼んで

H30_04 ようこそ(社福)童心会ワールドへ

~だきしめ言葉から始まるメンタルへルス・ケア~


平成30年4月2日(月)に入園式が挙行され、社会福祉法人童心会「柏ECEC保育園」が誕生しました。
〔ECECとは、Early Childhood Education and Care(人生初期の教育と保育)の意味です〕
場所はJR柏駅東口から南へ約400m位に位置する、柏市柏6-4-26番地に開園しました。
水戸街道に面する、駅近くの利便性の高い保育園です。
今、待機児童の問題だけが世間ではクローズアップされていますが、過疎地域の問題や保育の内容や保育の質を見つめた時、何が失われて今があるのかを知ることから、保育の本質を知らなければならないと思いました。f:id:doushinkai:20180606103150j:plain


今日の日本では、大家族世帯の崩壊が言われてから久しく、家庭の教育力、ご近所の教育力、子ども社会の教育力、学校の教育力、地域社会の教育力が失われてきて今があると言われ続けています。
地域や大家族からのしがらみから離れて核家族化を望み、自由を手に入れた子育て世代にその代償として失われたものもたくさんあるのです。
その代表的なものが多様化する家族の形態から生まれる、世代間連鎖と言われるものです。


三世代にわたる世代間連鎖(伝達)

虐待の世代間連鎖(伝達)
貧困の世代間連鎖(伝達)
離婚の世代間連鎖(伝達)
精神病理の世代間連鎖(伝達)
失われた子育て文化の世代間連鎖(伝達)
発達障害の世代間連鎖(伝達)etc.


このような時代にあって、1980年に生まれた世界乳幼児精神医学会は、1992年国際乳幼児保健学会と融合し、新たに世界乳幼児精神保健学(WAIMH)が誕生しました。
乳幼児精神保健は、8項目の基本認識にたっています。(8項目からの抜粋)


世界乳幼児精神保健の基本的認識

1. 乳幼児は養育環境との能動的な相互作用の中で発達する存在である。
2. 乳幼児の問題は乳幼児と養育環境の関係性の障害と考え、治療は関係性の改善に取り組む。
6. 異なる社会文化的環境下での発達の多様性を理解する。
8. 精神病理の世代間伝達が乳幼児期からどのように生じるのか、そのメカニズムの解明と予防のあり方を研究する。

 

現在、世界乳幼児精神保健学会が行っている母親と乳幼児への実践的援助を柱にした活動は、上に述べたように乳幼児の問題を「乳幼児と養育環境の関係性の障害」と考え、早期発見、対応とフォローアップにより、個人の精神衛生の向上と精神病理の予防を目指して発展したと言われています。(渡辺久子:「子育て支援と世代間伝達」金剛出版)

 

私は、こうした流れから、精神病理等の世代間連鎖(伝達)の予防的な意味を含めて、新しい保育技法(メンタルへルス・ケア)の重要性を感じたのです。

それは「愛された育ち(だきしめ言葉)から始まる新しい保育技法(メンタルへルス・ケア)」の必要性です。


メンタルへルス・ケア(心と体の健康)

1. 子どもに対するメンタルへルス・ケア
2. 子育て仲間(保護者)に対するメンタルへルス・ケア
3. 保育者仲間に対するメンタルへルス・ケア
4. 地域社会に対するメンタルへルス・ケア


最後に、究極的に社会福祉法人童心会が目指しているものは、保育園を核とした「失われた新しい地域コミュニティ創り(新しい村づくり)」です。
村中が総出で田植えをしていた時代のように、村人たちがひとり残らず挙って(こぞって)参加しながら "助けあって生きる" を、子どもたちの心に伝えてあげることが、今地域に求められていると思っているからです。


保護者の皆さま、あなた方は「産みの親」、私たちは「育ての親」です。
でも、あなた方もこの童心会の保育園の村人として、自分の子どもにだけ愛情を振る舞うのではなく、この保育園で生活している「村人の子どもたち」に対して、一人ひとりが育ての親になってほしいと願っているのです。

 

(社福)童心会という村の子どもたちみんなを、大人たちみんなで育てましょう!!

 

今日から新しいヒューマンネットワーク(新しい村づくり)の始まりです。
皆さま、今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

平成 30 年 4 月吉日
社会福祉法人 童心会
理事長 中山 勲