H29_05【「将来 メシを食っていける大人になる!」】
私たちが目指すものは、子どもたちが現在(いま)を最も良く生き、望ましい未来を作り出す力の基礎を培うため、認知・脳神経科学を取り入れた、新しい時代の変化に対応する保育を創造し、実践して行く事だと思っています。
そして、子どもたち一人ひとりが “生まれてから死を迎えられるまでの一生” を人間教育の場として捉え、「人間として如何に生きるべきか」を学ぶための原体験をつくる、人間教育(保育)を創造して行くべきであると、事ある毎に皆さまにお伝えしてきました。
花まる学習会代表の高濱正伸氏(東京大学大学院博士課程)は、昨今増えている 「子どもに干渉する親(小学生)」というコラムの中で、
1. 学校の宿題を手伝う
2. 夏休みの宿題を手伝う
3. 「勉強しなさい」と声をかける
4. 学校のテストの点数を確認する
等といった「心配性の母」は、なぜいつも子どもに対して何をやってもダメなのかと、勝手に心配といら立ち、またガミガミ怒り、「いい子」を強要したりしているといいます。
だから先生は「将来 メシを食っていける大人」に育てるには、次の五つの基礎力が欠かせないといっています。
① ことば(聞く、伝える)の力
② 自分で考える力
③ 想いうかべる力
④ 試そうとする力
⑤ やり抜く力
これらを小学校4年生までに身につけさせる事が、将来的に課題解決力やリーダーシップにつながるというのです。
また遠藤利彦(東京大学大学院教育学部研究科教授)は、「非認知」的な心の力に対する関心が高まり、これが人間の生涯発達の基盤をなすものといっています。
2000年にノーベル経済学賞を受賞した、ジェームス・ヘックマンによる研究の成果なのですが、彼は「認知」的能力ではなく大切なことは、「非認知」的な心の力を身につけることなのではないか、と言っています。
即ち「自己と社会性の力」を身につけることだというのです。
そして「認知的能力」の代表的な指標である I.Q よりも、自分を愛し、自分に自信を持つ「自尊感」であったり、自己制御する自制心であったり、やり抜く力「グリット」を大切にすべきだ、ともいっています。
また一方、社会性とは「他者との関係を作って維持する力」や「心の理解能力」が重要な要素になるのであり、自分と他者に対する基本的な信頼感を育むことが大切なのでしょう、ともいっています。
私は、〔認知・脳神経科学からの提言〕「0才児からの人間教育」の中で、発達プログラムを呪文のように唱(とな)えてきました。
【人間としての生きる姿勢】
1)興 味 ・見せる・観る
2)関 心 ・聴かせる・聞く
3)好奇心 ・触れる・触る
4)意 欲 ・やってみる
5)意 志 ・つづける
人間は人間として生命を授けられた時から、視覚・聴覚を始めとする五感を活用しながら生きてきました。
生後2か月頃から始まる、表情や声のミラーリングによっても、生後一年の間、養育者との間の泣き、笑い、指差し、喃語などの非言語コミュニケーションを通して、情緒的スキル(技能や技術)が育つというのです。
また2000年頃に発見された視聴覚ミラーニューロンは、「身体化による認知・模倣」とも言われ、人間はそれを駆使しながら生きる知恵を育ててきました。
私はこれらが、子どもの初期発達に重要であると、実証されていることを忘れてはならないと思っています。
だからこの生きる姿勢が「非認知能力」を育てているのであり、それが私は前から社会福祉法人 童心会の「0才児からの人間教育」の根幹をなすものであると、示してきました。
三者三様のご意見を提示いたしました。
皆さまのご審判をあおぎたいと思っています。
よろしくお願いいたします。
平成 29 年 5月 吉日
社会福祉法人 童心会
理事長 中山 勲