思いやりと生きる力

わたしを ぎゅっとして わたしを 見つめて わたしを 聞いて わたしを 呼んで

H29_09【非言語から始める コミュニケーション能力】

H29年8月19日、私は30年来の友人のお嬢様の結婚式に招待されて、参席させていただきました。

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お嬢様は、茨城県下館市(現筑西市)にある、定員60名の小さな筑子保育園に、産休明けから私たちと一緒に「0歳からの人間教育(保育)」を体験してきた人です。

「0歳から五感を刺激する保育」を提唱し、私たちは新しい保育を創造してきました。

今日、私がお話したいのは、今この時代にあって、結婚しない人、結婚できない人が多い世の中なのに、筑子保育園の卒園生は結婚もして、子どもも授かって幸せに暮らしている人たちが多いような気がします。

今、大きな社会問題として取り上げられている、250万人とも277万人とも言われているニート、フリーター、引きこもり、不登校などの、ある意味では「究極の自由」を勝ち取った人とも言われていますが、私から見ると結婚しない人、できない人たちと同じ部類の人たちと同じ「コミュニケーション能力」が貧しい選択の結果だと思っています。

人間のコミュニケーション能力は、本来生物学的な感性と文化的な感性、それと科学技術が一体となって融合されて、意思と感情が伝えられるものなのです。

生物学的感性とは「五感」であり、文化的感性とは相手の言葉、表情、仕草、態度などから生まれる、非言語コミュニケーション(ノンバーバルコミュニケーション)であり、科学技術とは、ネット上のやり取りに代表される感性の裏づけのないコミュニケーションだと言われています。

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私たちは長い臨床保育の経験から、乳幼児期からのコミュニケーション能力を高めるのは生みの親、育ての親、そして保育園の先生など養育者とのインタラクション(相互作用)を通して、耳から入る言葉だけでなく、表情や仕草、ぬくもりなどから生まれる信頼関係や他者理解、そして体験や感情の共有を通して意識(心)が育つことだと理解しています。

今、このような失われている社会環境を見つめた時、新しい人間教育(保育)に取り組むべき、私たちの新しい使命が見えてきました。

今年3月12日、東京大学で行われた公開シンポジウムで、先進国代表としてイギリスとドイツが研究成果や課題を発表しました。

イギリスからは、30年間の縦断研究を通して、乳幼児期から社会的スキル・情緒的スキル・認知的スキルをバランスよく身につけることが、その後の将来に良い影響を及ぼすとのエビデンス(科学的根拠)が発表されました。

ドイツからは、1840年に世界で初めて幼稚園を作ったフレーベル、その後モンテッソーリ、シュタイナー、イタリアのレッジョ・エミリア、森の幼稚園へと移行し、1993年幼児教育(3~6歳)に法的権利を与えた国が大転換したのです。

ドイツにおける乳幼児教育・ケア(ECEC)における改革で、早期の就学前教育・保育の重要性が認識され、3歳未満児(1~2歳)の就園率を上げるため、2013年に1~2歳の教育・保育に法的権利を与えたという経過が発表されました。

それでは日本の現状はどうか、というと、まだ幼児教育は3歳から始まると言っているのです。

平成30年に保育指針の改訂もあるのですが、その中で乳児期に最も身につけたい今流行りの非認知能力も、心情・意欲・態度で片づけています。

私たち(社福)童心会の人たちは、「0歳からの人間教育(保育)」の中で、五感を刺激しながら興味・関心・好奇心・意欲・意志が愛された育ちと同じ「一生モン」の生きる基盤であることを知っています。

だから私たちは、与えられた いのち が輝くように、「あそび・くらし・学び」ながら泥くさく、子どもたちと共に “生命(いのち)” を見つめながら生きていくつもりです。

 

                                       平成 29 年 9月 吉日

社会福祉法人 童心会

理事長  中山 勲