思いやりと生きる力

わたしを ぎゅっとして わたしを 見つめて わたしを 聞いて わたしを 呼んで

H30_8【未来を創造していくのは いつの時代も「人」だ】

2020年東京五輪パラリンピックの公式マスコットの名前が

五輪は「ミライトワ」、パラリンピックは「ソメイティ」に決まりました。

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ミライトワは「未来」と「永遠(とわ)」を結合させ

ソメイティは桜の「ソメイヨシノ」と英語の「so mighty(非常に力強い)」を掛け合わせたものだそうです。

私はこのマスコットの名前の持つ意味は、五輪は「子どもたちに永遠にある未来を」

そして「国(さくら)を背負って強く生きる」という姿勢を示しているのではないかと想像しています。

テーマに書いた言葉は日本有数の大衆イタリアンレストラン事業部の

正社員募集のご案内に書いてあった言葉です。

未来を創造していくのは、いつの時代も「人」だ。 そして言葉はさらに続きます。

「食堂業に『科学』という、かつてない概念を生み出し、可能性をきりひろげてきました。

その原動力となるのは、科学やテクノロジー単体ではなく、それらを駆使する「人」にこそある。

私たちはそう考えます。」と結んでいました。

改めて、『未来を創造していくのは、いつの時代も「人」だ。』

という言葉を考えてみた時、1991年に開催した

第26回ユネスコ総会において21世紀の教育や学習の在り方について検討するための

21世紀教育国際会議が設置されたことを思い出しました。

古い資料を紐解くとその成果を1996年「学習:秘められた宝」にまとめ

報告書も「ドロール・レポート」と呼ばれているものがありました。

表題の由来は、ラ・フォンテーヌの寓話「農夫とその子供たち」。

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その内容は子どもたちが宝物を求めて畑を掘り起こす物語を「秘められた宝」として

農夫(親)が生涯教育を示し、子どもが生涯学習を見つめることを意味するとありました。

そして「学習の4本柱」が教育方針として提言されたのです。

 

1、知ることを学ぶ(learning to know)

2、為すことを学ぶ(learning to do)

3、共に生きることを学ぶ(learning to live together) 

4、人間として生きることを学ぶ(learning to be)

 

そして時代は変わりOECD経済協力開発機構)の

ECEC(Early Childhood Education and Care 乳幼児期の教育とケア)は次のようにして生まれました。

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乳幼児期プロジェクトのきっかけは1996年の「万人のための生涯学習の実現」

についての加盟国の教育大臣会議でした。

そして1998年3月「乳幼児期の教育とケア(ECEC)」政策に関する調査に着手しました。

調査をする正当な理由は、生涯学習の基礎を強化するということでした。

当初の考え方は、幼い子どもにケアと教育を提供することは、

女性の労働市場の参加を保証するうえで必要だと考えられていましたが、

次第にそれだけではなく乳幼児期の発達が人間の学習前発達の基礎形成段階であるとみなされるようになってきたからだというのです。

したがって乳幼児期のプログラムを作ることは、すべての子どもが人生を公平にスタートさせるのに役立ち、また教育を平等と社会的統合に寄与するであろうと考えたからでした。

そして2001年6月、OECD保育白書が

「人生の始まりこそ力強く:乳幼児期の教育とケア」

のタイトルで刊行されたのです。

OECDの基本的理念は次の通りです。(2項目のみ抜粋)

 1、幼い子どもは年齢によらず人権の完全なる主体であり乳幼児期からの発達と教育への権利を有する。

 2、近年の脳神経科学研究により、幼い子ども、特に3歳未満の人生の最初期にある 子どもは有能な学習者であることが確かとなった。

OECD生涯学習・生涯教育の考え方は、人間の従前からの権利理解と新しい脳神経科学を取り入れた幼い子ども、特に3歳未満の子どもは有能な学習者である、という理念を持ったことでした。

私たち(社福)童心会の保育は、1973(昭和48)年

茨城県下館(現:筑西)市から始まった「0歳からの人間教育」でした。

「五感を刺激する教育・保育」Smart Learning(人間としての学ぶ姿勢)とは

五感を通しての

「学びのはじめ」

興味・関心・好奇心・意欲・意志

を育てることであると確信していたからです。

ようやくそれを脳神経科学やノーベル賞経済学賞を受賞したJ・J・ヘックマンや教育経済学者たちの30年、40年間に亘る縦断研究などが強い後押しをして、エビデンス(科学的根拠)を示してくれたことからまた私たちの教育・保育は進化を始められそうです。

改めて私たちのテーマはStarting strong(人生の始まりこそ力強く)ではなく、次のようになりました。

Starting Smart (人生の始まりこそスマートに)

・愛された育ち(子どもの権利)

・だきしめ言葉(養育者の義務)

そして人間教育の目標は次のようになりました。

         人間を創る

 ひ  と  り  で できる     ひ  と  り  で できた    ひ  と  り  で 生きる

 み  ん  な と    できる   み  ん  な と   できた      み  ん  な と   生きる

 人のために  できる      人のために   できた       人のために   生きる 

 助けあって   できる     助けあって    できた           助けあって   生きる

                                       以上

                       平成 30年 8月 吉日

                       社会福祉法人 童心会

                       理事長  中山 勲