思いやりと生きる力

わたしを ぎゅっとして わたしを 見つめて わたしを 聞いて わたしを 呼んで

〔 不適切な養育( Child maltreatment 〕

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ECEC保育園 親子運動会にて

ヒトは、子どもが生まれて初めて「親」という立場になります。
今の時代、ほとんどの 人たちが子どもと接する機会がほとんど無いまま、ある日突然に親になります。
だから子育てに戸惑いや悩みが多くなるのは当然のことです。


少子化社会といわれて久しいものの、現在の日本では、その少ない子ども達に対して、十分な子育て環境が整っているとはいえません。
昔は、三世代やご近所の人たちの協力があって子育てが成り立っていたのですが、今は両親が仕事を持つ家庭が増えた結果ではないでしょうか?


また貧困・離婚・虐待・発達障害など多様な家族の形態が生れているにも関わらず、子育てについては旧態依然として-子育ては母親がするべきーという考え方が根強く残っています。


平成28 年度の厚労省の発表によれば、 このような子育て状況の中でのあの悲惨な虐待問題は、平成11 年の調査に比べるとおよそ 10.5 倍、 12 万 2578 件にものぼり過去最高になったといいます。


しかし最近アメリカでは「虐待」という言葉ではなく

「不適切な養育 (チャイルド・マルトリートメント)」

という言葉に変わったそうです。
子どもをどなったり、おどしたり、ののしったり悪口をいったり、無視したり、相手にしなかったり、子どもの前での激しい夫婦ゲンカなど、家庭で普段”躾”といっていたことすべてが「不適切な養育」になります。

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即ち、子どもの健全な身体的成長、精神的な発達を阻害する可能性のある養育をいいます。
このChild maltreatment (不適切な養育)が虐待に変わる言葉として、これからは国内外で用いられるそうです。

こうした考え方を「子どもの脳を傷つける親たち」(友田明美NHK 出版新書)のご本の中で、不適切な関わりが子どもの脳を変形させると私たちに教えてくれました。
だから行為が軽かろうが、子どものためだと思ってした行為であろうがなかろうが、傷つける意思があろうがなかろうが子どもが傷つく行為はすべて不適切な養育(チャイルド・マルトリートメント)だといっています。
このような養育を受けた子どもには、次のような症状が結果的にあらわれると研究の成果を発表しています。
・学習意欲の低下や非行、うつ病摂食障害統合失調症、いじめ(被害者にも加害者にもなる)
・社会に適応しづらい青少年や成人、対人関係能力、心身症、注意力障害
こうした時代の中にあって私たちは1948 年からこの不適切な 養育( Child maltreatment を予防するための新しい試みを考えて実践してきました。
それは保育園が村として、村人たちが心を一つにして保育所を一つの村にすることでした。
合い言葉は

生みの親と育ての親が村人になって「大人たちみんなで、子どもたちをみんなを」

という思いを一つにして昔のように子育てすることでした。
そして私 たちの 信念 ・哲学は、 「五感を刺激する 0歳からの人間教育」 になりました。
また私たちは人間としての生きる基盤
「愛された育ち(子どもの権利)、だきしめ言葉(養育者の義務)」
を大切に育てながら責任を持って次の世代に生きる子どもたちを育ててきました。
これからも皆さまと一緒に志を立てて、意思を一つにして子どもたちを育てていきたいと祈念しています。
どうぞこれからもご協力をお願いいたします。


人間教育の目標「こんなヒトに育ってほしい」


1. 笑顔が素敵なヒト (愛された育ち・だきしめ言葉)
2. 気はやさしくて (思いやり、慈悲の心)
3. 力持ち(ケンカも強くて・意欲的)
4. 智慧もあって(生きぬく力・ GRIT)
5. 運動大好き(忍耐力・がんばること・つづけること)
6. 自分を大切にしながら(自分を愛するように)
7. 人のためにもお役に立てる(利他の心 他人を愛すること)
8. 地域のために貢献しCSR ・みんなのために・人のために)
9. 家族も大切に出来るヒト(愛する心・愛される心)
10.そしていつもありがとうを忘れない(感謝の心)

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以上

令和元年11 月 吉日

社会福祉法人童心会

理事長 中山 勲