思いやりと生きる力

わたしを ぎゅっとして わたしを 見つめて わたしを 聞いて わたしを 呼んで

〔 暮らし・運動・心・体・脳・人との絆 〕

私たちが今、「ヒトとの成り立ち」を科学的に見つめてみると生命の誕生から「暮らし・運動・心・体・脳・人との関わり(絆)」などから生き方上手な人を 育てています。
 私たちは毎年4月に入園式、進級式を迎えてから毎日毎日イキイキ・ワクワク・ハラハラ・ドキドキの生活を続けてきました。
 それはヒトとしての生命を授けられてから、暮らしの中で学び育ち、いろいろな運動機能を獲得しながら、ハイハイや歩くことなどの移動能力を高め人間としての生きる力を身につけるためです。
 それらは親が子どものために望んでいる最大の願いでしょう。
 「幸せ、精神的な強さ、優秀な成績、人と上手につきあうスキル」などの性質を集中的に伸ばしてあげることではなかったのです 。
 今からは人生100年の時代になるのです。その時代は世の中の価値観がすべて変わってしまったとい われる程の変化の波が押し寄せてくる かも知れません。
 このような価値観の中で、自分の子どもだけの幸せを願っているだけではいけないのです。

ひとりで できた、みんなと できた、人のために できた、助けあって できた


という成功体験が大切なのです。
 その成功体験・失敗体験が、この運動会練習の学習の目的なのです。このような時代の変化の中で、私たちが目ざしているものがあります。
 人が望むあらゆる前向きな目標は 、「 幸せ とは 、体と 心 の健康、学業と仕事の成功、満足のいく人間関係」 を作っていける人を育てることです。

 

 私たちはこれらのすべてのことを含めて(社福)童心会の目ざす〔 Well Being 〕 と呼んでいます。
 身体的な健康・精神的な健康、そして社会的に良好で幸せな生活を身につけることであると確信して、毎日毎日「五感を刺激する0歳からの人間教育」に取り組んできました。
 これらの総合的な人間教育一年間の中間発表の場が、この(社福)童心会の”運動会”なのです。

f:id:doushinkai:20191007112414p:plain今の私のように長く生きてきた人間には身体的な健康と精神的な健康、そして
「人のために生きる、利他の心」
だけを持っていれば、何事にも変えられない喜びだと感じています。
 最近の保育園、幼稚園、小学校、中学校の運動会の持つねらいを読ませてもらうと


人間を創る


ということに重きをおかずに、行事としてすませているような気がしてなりません。
 皆さん、私たち(社福)童心会の子どもたちが行っている運動会の練習にも
この度の運動会の演技発表にもこのような意味があるのです。
皆さんの心からの応援をお願いいたします。
最後に皆さんに改めて問いかけてみたいと思います。

・運動会の練習はなぜするのでしょうか?
・なぜ運動会をするのでしょうか?

令和元年
10 月 吉日
社会福祉法人
童心会
理事長
中山 勲

〔愛され上手〕~五感を刺激する 0歳からの人間教育~

 ある私たちの情報誌の中で 汐見稔幸東京大学名誉教授は「平成の保育を語る」の中で、平成の30年はウェルフェア(wel fare=福祉)からウェルビーイング(well being=心身共に、そして社会的に幸せな生活)になったというのです。

 

 昭和の福祉から新しい福祉へと広がった時期といえるのではないか、即ち新しい福祉ニーズを社会全体でサポートするという時代になった、というのです。

 

 それは地緑、血縁で支えあってきた社会の大家族がなくなり、生活の中で手作業がなくなり、子育てなど もっとも共同しなくてはいけない営みがうまくいかなくなったからだというのです。

 

 私はこうした時代が 茨城県の人口6万有余の下館市(現:筑西市)にも押し寄せ、田舎でも核家族化が起こり始めた頃、1973年(昭和48年)に筑子保育園の園長として保育の世界に入りました。

 

 それ以前に、白山学園という知的障害児の施設に勤務していた時には、家庭訪問で障害の重い人ほど五感の刺激を受けなかった人たちが多数いたことを知った時に、「五感を刺激する 0歳からの人間教育の大切さ」を直感的に感じました。

 それが今も続いている 私の人間教育の原点になっているのです。

 過日、牛久みらい保育園で8月の理事長研修会を開きました。

 テーマは 

現代社会の問題と保育(1 on 1の意味)」~メンタルヘルス・ケアは誰のために~ 

でした。

 この研修後の感想文には、(社福)童心会の保育実践学の基盤になっている

保育理論が明示されていました。

 

     「愛され上手」

 

 理事長先生より「人間は胎生期より愛されるために感覚や運動機能を身につけ始める」ことを学びました。

 牛久みらい保育園の子どもたちは「愛される能力」に長けていると、日々の生活の中で実感することが多々あります。

 目が合うとほほえみかけてくれる、気づくと側にいてそっと手をつないでくる、 朝の会や帰りの会「わたしをぎゅっとして」の時間には本当に嬉しそうな顔で全力で抱きしめてくれる、というノンバーバルなシグナルのほか、

「ありがとう」 「うれしい」 「だいすき」 等のポジティブな言葉の表出が上手であると感じます。

 愛されずにはいられない子ども達の姿は、童心会の保育によって、保育者に受け止められ愛されているからこそ作られるものだと思っています。

 それは、まるで幸せな胎生期のような安心感がある ということだと私は思います。

 この幸せな応答行為(アタッチメント)を守り発展させられるよう、日々精進してまいります。

 

キーワード

・ほめ上手      ・聞き上手            ・だい好き上手

・ほほえみ上手       ・まなざし上手    ・よろこび上手

・アイサツ上手    ・手伝い上手           ・だきしめ上手

・アリガト上手(お礼)・ふれあい上手          ・よりそい上手

・あまえ上手                  ・仕草上手

 

 今この時代をふり返ってみた時 1996年頃からOECD経済協力開発機構)と

UNESCO(国連教育科学文化機関)は、世界の生涯学習・生涯教育「万人のための生涯学習の実現」の政策に関するテーマ調査に着手しました。

 即ち、近年の脳神経科学研究により、幼い子ども、特に3歳児未満の人生最初期にある子どもは、有能な学習者であることが確かとなったからだというのです。

 (社福)童心会の前身、筑子保育園(1973年)からの「乳幼児期からの教育とケア」 ECEC(Early Childhood Education and Care)

「五感を刺激する 0歳からの人間教育」は私の人間教育に対する仮説から始まりましたが、未だに色あせていないことを確信し、イノベーションエビデンス(科学的根拠)が実証してくたことを誇りに思っています。                                                    

これからも、「新しい人間教育術の構築」~Innovation of Human Education and Careを(社福)童心会は目指していくつもりです。

皆さまのご協力を よろしくお願いいたします。

   

    

令和元年 9月吉日               

社会福祉法人 童心会

理事長 中山 勲

〔 愛されて育った子は賢くて強い! 〕

 私たちの情報誌「遊育12号」の中で 、汐見稔幸東京大学名誉教授は平成の保育を語りました。

 平成の30年間はウェルフェア(welfare= 福祉)からウェルビーイング(well being= 身体的・精神的・社会的に良好な状態=幸せな人生)への転換の時代であった と言っています 。


 子育て支援児童福祉法に位置づけられるといった動き(平成17年施行)はそれまで特殊な人を対象にしていた福祉の範囲が広がり、すべての人が対象となりうる社会に変わってきたということです。
 汐見先生は続けて1990年代の子育て状況をふり返って、横浜市にあった日立家庭教育所で行ったアンケート調査「3歳児子育て研究」の事例を上げてお話していました 。


「子どもを叩くときにはどこを叩きますか」

 

という設問に、叩いているという人は8割超に上ったというのです。親の感想には、なぜ子どもを叩いてはいけないのか、叩かないで子どもをしつける方法はあるのですか 」と書かれていたそうです。
 1970年~1980年代に厚生労働省から公表された「育児不安や育児のイライラ感」が80%となった結果は、私は大家族が家庭教育力を失った時代から
「育児崩壊」へと歩み始めた結果だったと思っています。


 このころ、学級崩壊(小1プロブレムなど )が問題化し、ひきこもり (今の時代の80:50 70:40問題) が増えました。


 自殺者が3万人を超え(1998年~2011年)、国は1995年から本格的に子育て支援に力を入れ始めました。

 汐見先生は続けます。

 否応なく少子高齢化が進む中で、我々がどういう社会をつくろうと考えるのか、
自分の住んでいる地域を住みやすい町にするにはどうしたらよいか、
ということを地域で住んでいる人みんなで考えるしかありません、というのです。
 

 私たち(社福)童心会はアフリカの諺

「子ども一人育てるには、一つの村が必要だ!」

を知る以前から

保育所から始める地域コミュニティ創り」

運動に取り組んできました。


法人だより7月号にも書いたのですが、次のような要旨です。

保育所から始める村づくり 〕


今   ここは 町の小さなコミュニティ
    うるおいのある ところで 心とこころが ふれあうところ
そして 共にくらす仲間たちが 助け育ちあう ところ
だから ここは 私たちの家 ここに くらす 仲間たちは
    私たちの家族のひとり


 新しい脳神経科学のエビデンスに裏付けさせれた科学的知見は、脳が実際にどのような発達をするのかが機能的MRI( fMRI )で明らかになっています。


 こうした重要な情報を活用しながら在家庭の乳幼児,学齢前の子どもたちの
健全な発達を促す人間教育に取り組まなければなりません。
 乳幼児の社会的、感情的発達ならびに知的発達についての研究結果は、「自分自身が安全であることを理解し、周囲から愛されて守られていると感じることが必要であり、
他の人とつながっていると感じる必要があるのです。最初の人間関係が愛情深いものであれば、関係を広げて学校での学びと社会生活力が高くなる。」と実証してくれているのです。


 即ち子どもを取りまく親や先生、養育者や地域の育ての親たちが、子ども達に安全を感じさせ、愛情とやさしさと気遣いを持って人間を創ることなのだそうです。


要するに簡単に言わせてもらえば


・愛された育ちは子どもの権利であり
・だきしめ言葉は親や養育者の義務である


ということなのです。

 愛されてだきしめられて 育った子どもは 前頭葉を刺激して認知能力が高くなるのだそうです。


 そうして(社福)童心会の保育方針(1on 1)と心に残る生活体験学習は次のようになりました。


保育方針(1on 1)


わたしをぎゅっとして  わたしを 聞いて
わたしを見つめて    わたしを 呼んで


心に残る生活体験学習


1)笑った数一番  

2)だっこされた数一番 

3)やさしくされた数一番 

4)あそんだ数 一番

5)でかけた数 一番

6)チャレンジした数 一番

 

だから


愛されて育った子は
賢くて強い!


(社福)童心会で育った子は
やさしくて賢くて強い!

 

 

      令和元年   8月 吉日
      社会福祉法人 童心会
      理事長    中山 勲