H29_10【幸せな人生を創れる人にするには何が必要か?】
先月9月18日、念願のインターネットTVに出演を果たすことができました。
たくさんの人たちから メッセージ、視聴の感想を頂きました。
私も柏市の秋山浩保市長さんとの約束、「(社福)童心会の保育を柏市から日本全国に発信して行きます」 を果たせたと思い、安心しました。
今 私の机の右側に 〔「東大に入る子」は5歳で決まる〕(和田秀樹、小学館)という本があります。
そして机の左側には今年3月12日(日)に東京大学発達保育実践政策学センターで行われた先進国、英・独とのシンポジウムの資料があります。
「乳幼児期からの縦断研究~幸せな人生のために何が必要か~」
という英・独の先進国の中で、イギリスの30年にわたる縦断研究の成果と課題のエビデンス(科学的根拠)に私は興味を持ちました。
そしてそれが(社福)童心会の「0歳からの人間教育(保育)」と同じ方向性にあるのを知り、「人間としての生きる基盤は何か?」 を改めて見つめ直しました。
イギリスの研究テーマは「乳幼児期の社会的・情緒的・認知的スキルの予測力」でした。
研究方法は1970年に生まれた子どもたちを、誕生から現在まで30年間を追跡した調査を発表しています。
その二つを読み比べて今月の法人だよりのテーマが決まりました。
イギリスのこの研究をまとめてみると、下記のような結果になっていました。
結果:1、教育歴(30歳時点)
・5歳時点の社会的・情緒的・認知的スキルの測定結果は、どちらも将来の学業的達成と関連していた。
・5歳時点の社会情緒的能力は、将来の学業達成に影響していることが分かった。
結果:2、心理的な幸せな生活(ウェル・ビーング)
・5歳時点での社会情緒的・認知的スキルは、成人後のメンタルヘルスを強く予測していた。
・5歳時点の社会情緒的能力は、同じ時期の認知的能力に加え、またそれ以上に成人後のメンタルヘルスに影響していることが分かった。
結果:3、私たちは何を学んだか?
・乳幼児とその家族にとって、生活環境が極めて重要。
・母親のメンタルヘルスが極めて強く相関し、安定して協力的な家庭環境の重要性、子どもだけでなく、保護者支援の必要性。重要。
・5歳までに明白に表れるスキルの発達の前兆として粗大運動や微細運動の発達、早期のアタッチメント(愛着行為)スタイル、課題学習などがあげられる。
そしてこの研究は、私たちに次のように問いかけています。
「ウェル・ビーング(幸せな生活)や社会的発達を促すスキルは何か?」
イギリスのこの研究をふまえて、2015年にOECDは次のように答えています。
『バランスの取れた認知的・社会的・情緒的スキルを持つ 「総体としての子ども」を育てること』
・将来の発達の基礎づくりとしての乳幼児期の重要性を強く主張。
これに習ってドイツの乳幼児教育・保育(ECEC)は大きな革命を進めています。
1840年 フレーベルが世界初の幼稚園を創設
1946年~1989年 幼稚園は教育制度の一部
1993年 西ドイツ 幼稚園(3~6歳)に法的権利
2013年 1~2歳の教育・保育に法的権利
これを読んでみると、3歳未満の早期乳幼児期の教育・保育は世界の潮流なのかもしれません。
世界の先進国の社会構造の変化が大家族の形態をなくし、地域社会での子育て環境もなくしてしまった今、改めて「社会的養護(子育て)」のあり様を私たちは模索していかなければいけないのでしょう。
改めて今、1973年(昭和48年)から始めた私の「0歳からの人間教育(保育)」をふり返っています。
保育目標
思いやり(慈悲) と 生きる力(智慧)
1.人間としての 生きる基盤 ~愛された育ちの保障(だきしめ言葉)~
2.人間としての 生きる生活技術
3.人間としての 生きる姿勢
4.人間としての 生きる態度
5.人間としての 生きる心得
正にこの(社福)童心会の人間教育のすべてがバランスの取れた社会的・情緒的・認知的スキルを持つ 「総体としての子ども」 を育てていることにつながっていることを確信しました。
皆さん、私たち 社会福祉法人 童心会の 「人間教育」 を信じてついてきて下さってありがとうございます!
平成 29 年 10月 吉日
社会福祉法人 童心会
理事長 中山 勲