思いやりと生きる力

わたしを ぎゅっとして わたしを 見つめて わたしを 聞いて わたしを 呼んで

H29_07【社会福祉法人 童心会からの発信 〔0歳児からの人間教育〕】

昔から「0歳児からの人間教育」に取り組んできた (社福)童心会は、今、新しい視点から人間教育(教育と保育)を見つめ直す時期に来ていることを、肌で感じています。

なぜなら、東京大学の発達保育実践政策センターは、今年3月12日(月)「乳幼児期からの縦断研究 ~幸せな人生のために何が必要か~」と題して公開シンポジウムを開きました。

そこでイギリス、ドイツなどの先進国から調査研究の状況、その成果や課題を発表し学びあいました。

私が特に関心を持ったのは、ドイツの研究グループの発表でした。

「ドイツの乳幼児教育・ケア(ECEC)における改革と縦断研究の貢献」と題して、早期の就学前教育・保育の重要性が認識されました。

ドイツと言えば1840年(江戸時代の天保11年)に、フレーベルが幼児園、Kindergartenと呼ぶ後に世界に広まった幼稚園を始めた国でした。

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フリードリヒ・フレーベル



その後モンテッソーリ、シュタイナーから、イタリアのレッジョ・エミリア 森の幼稚園で世界の幼児教育界をリードしてきた国が、幼児教育ではなく、3歳未満児、特に1~2歳児の教育・保育の重要性を認識され、「2013年1~2歳の教育・保育に法的権利」 を与えたのです。

この世界の先進国、日本ではどのような考え方をしているかと言えば、幼保連携型認定こども園では、まだ「3歳児からの幼児教育」と言っています。

3歳未満児の保育の世界では、共働きのご家族のお子様と、まだ入園できない待機児童のための施設であるという認識です。

だからまだ「3歳児神話」が根強く残っており「赤ちゃんを保育園に入れるのは可哀想」だと思われています。

しかし「0歳児からの人間教育」を受けている当法人のばら組さんは、「手づかみ食べ」などの微細運動、移動能力やマラソンなど、ミラーニューロンを駆使した運動機能の獲得、散歩カーやペア歩行、異年齢児交流保育など、体験の共有や感情の共有を通して学んだ「やさしさや思いやりの心」、また挨拶やコミュニケーション能力は、ノンバーバルコミュニケーションの時代から、相手の表情や指さしなどを通した他者理解など学びの領域が広く早いのです。

また「心はどうして育つのですか?」の問いに、体験の共有・感情の共有などの実践を繰り返しながら、お互いの心を理解し学びあっております。

そして、私たちがいつも言っている人間としての生きる力の基盤、「愛された育ち  と  だきしめ言葉」を大切にしながら、一生モンの「人間としての生きる姿勢」を育てています。

 

興味(観せる・見る)、関心(聴かせる・聞く)、好奇心(触れる・触る)、

意欲(やってみる)、意志(つづける)

 

これらが(社福)童心会の理念であり、一生モンの人間としての生きる姿勢です。

2015年、OECDは 「バランスの取れた認知的・社会的・情緒的スキルを持つ総体としての子どもを育てることが大切」 と発表しています。

イギリスの先進的な発表では、「ウェルビーング(豊かな生活の実現)や社会的発達を促すスキルは何か?」という問いに答えていました。

将来の発達の基礎づくりとしての乳幼児期の重要性を謳い、乳幼児期のスキル(技能や技術)から将来の成果を予測できると、30年間の縦断研究からのエビデンス(科学的根拠)を発表しています。

内容は紙面の都合で割愛させて頂きました。

最後に、今 私たちが取り組まなければならないことは、「人間教育革命」を起さなければならない、ということです。

それは「総合的人間科学との協働」を始めなければならないということでもあります。

私たちは、柏市の秋山浩保市長との約束を果たすために、「新しい保育理論を創造」 し、柏市から日本に発進して行きます。

難しいことを書かせていただきましたが、改めて今一番新しい「保育理論」をお伝えしながら、皆様のご理解をいただき、子どもたちの「豊かな将来と生活の実現」を獲得できる人間を育てたいと強く思っています。

 

平成 29 年 7月 吉日

社会福祉法人 童心会

理事長  中山 勲